メディア掲載

【システム脆弱性徹底解説】ーサイバーセキュリティの仕事まるわかり

本記事は、地域情報メディア 「地域色彩」 にて公開された
SynXの特集番組「AI時代のセキュリティと開発のリアル」 の内容をもとに、note向けに再構成した“記事版ダイジェスト”です。


番組では、SynXセキュリティアドバイザー 芳崎大紀
「開発とセキュリティの狭間に潜むリスク」
「ECサイト運営者が見落としがちな“落とし穴”」
などを、実例を交えて分かりやすく解説しています。

ぜひ、記事とあわせて番組本編もご覧ください。

▶ 地域色彩(番組サイト)
https://chiiki-shikisai.com/radio/

▶ SynX出演回(番組動画)
https://chiiki-shikisai.com/radio/synx-co-jp/

システムを作るとき、私たちは“完成した画面”に目を奪われがちです。
しかし、本当に守るべきなのは、その裏側に眠る小さな設定や権限、そして人の手で作り込む最後の部分。
そこに潜む“見落とし”が、思わぬ事故につながります。

SynXのセキュリティアドバイザー・芳崎大紀は、もともと開発者としてキャリアを歩んできた人物。
「だからこそ見える危険」があり、そして「開発とセキュリティの狭間」には多くの企業が抱える共通の落とし穴がありました。

本記事では、芳崎が登壇したセッションの内容をもとに、
セキュリティの本質を“現場目線”で読み解いていきます。

開発からセキュリティへ──登壇者の視点の原点

芳崎は、もともとWeb開発を起点にキャリアを積み、学生時代には受託開発の形でサービス・システムを作ってきたと語ります。
一方で、開発は「形(フレームワーク)」だけでは完結しません。フレームワークで守れる範囲があっても、最後は人の手で作り込む領域が必ず残り、そこにヒューマンエラーが入り込みます。

たとえば──

  • 本来は管理者だけが見られる画面が、一般権限でも見えてしまう

  • 権限の制御が不十分で、想定外の操作ができてしまう

こうした“よくあるミス”が、重大なセキュリティ事故に直結します。
芳崎は「だからこそ、開発の最後の工程としてセキュリティを入れることが重要」と強調しました。

 

脆弱性診断とペネトレーションテスト──似ているようで違う

セッションでは、混同されがちな2つの手法について、違いが明快に説明されました。

脆弱性診断:穴(セキュリティホール)を網羅的に探す

脆弱性診断は、対象システムに対して攻撃者と同じ手法で「どこに穴があるか」を洗い出す検査です。
「この入力にこの文字列を入れると情報が漏れる」といった“入口”を検査し、リスクを可視化します。

ペネトレーションテスト:突破した先で“どこまで到達できるか”を検証する

ペネトレーションテストは、お客様と合意した上で、実際に侵入を試みて、情報資産に到達できるかまで検証します。
脆弱性があることを報告するだけでなく、「突破されたら、ここまで起き得る」を具体的に示すのが特徴です。

 

診断は“地道”で“チーム戦”──だから品質が担保される

脆弱性診断・ペネトレーションテストというと、特別なツールで一瞬で見つけるイメージを持たれがちです。
しかし実際は、芳崎いわく「1つ1つの機能に対して多くのパターンを試す、地道な作業」。

さらにSynXでは基本的に2名以上で対応し、ダブルチェックを行います。
理由は、見つかったものが「本当に重大なリスクなのか」「誤検知ではないか」を複数人で精査し、精度を担保するためです。

 

“放置の代償”は10倍、100倍──セキュリティは投資

芳崎が繰り返し語ったのは、

脆弱性診断をやらなかったことで、後からインシデントが起きると
損害賠償や業務停止など、10倍・100倍の被害につながることがあります。

セキュリティ対策は、やらなければ目先のコストは減ります。
しかし事故が起きた瞬間に、被害は「費用」ではなく「経営課題」になります。

  • 業務停止(受注・出荷停止など)

  • 売上損失

  • 調査・復旧コスト

  • 損害賠償(個人情報が絡む場合)

  • 信頼失墜・ブランド毀損

「コストではなく投資として考えてほしい」というメッセージは、EC運営に限らず多くの企業に当てはまるのが現実です。

 

ECサイトが抱える“守るべき情報”は想像以上に多い

ECサイトは、攻撃者から見れば“宝箱”です。
扱っている情報が多く、漏えいすると直接被害につながるものが集中しています。

  • 顧客の個人情報

  • ログイン情報(ID/パスワード)

  • 決済関連情報(非保持化でも攻撃対象になり得る)

  • 注文・購買履歴

  • 在庫データ

  • サーバー/アプリケーション設定情報

  • 外部APIキー

「外部公開していない企業でも安全とは限らない」という話もありました。
訪問者向けのゲストネットワークが社内ネットワークと誤って紐づいていると、そこが侵入経路になることもあります。

 

攻撃者はなぜ攻撃するのか──動機は大きく2つ

「なぜハッカーは悪さをするのか?」という問いに対し、芳崎は動機を2つに整理しました。

  1. 金銭目的(無差別型)
    ランサムウェアなど、身代金要求を目的とした攻撃。

  2. 標的型(対象が決まっている)
    特定の企業・人物に対してダメージを与えることが目的の攻撃。

無差別型には、まず脆弱性診断で“よくある入口”を潰すことが有効です。
標的型まで視野に入れるなら、ペネトレーションテストで「突破された場合にどこまで到達できるか」を検証し、守りを固めていく必要があります。

 

「AIで診断でできる未来」はある。ただし“最後は人”

AI活用についての質問に対し、芳崎は次のように整理しました。

  • 攻撃パターンを学習し、自動化する未来はある

  • 実際にAI診断ツールも出始めている

  • しかし、学習データをどう集めるかが難しい
    (顧客システムへの診断結果は契約上、学習に使えないケースが多い)

  • そして何より、AIが検知したものの真偽確認は人が行う必要がある

現時点では、セキュリティ領域は「AIだけで完結する」よりも、AI+専門家のチェックが現実的な形と言えます。

 

“まずはここから”──ECサイトが取り組むべき第一歩

芳崎の話を踏まえると、まず取り組むべき順序は明確です。

1)脆弱性診断を導入する(最初の一歩として最適)

外部公開のタイミング(リリース前/リリース後)で実施し、穴を可視化する。

2)運用・権限・ログなど“人のミス”を潰す設計にする

教育・権限管理・ログ監査は、事故を防ぐ基礎体力になります。

3)標的型まで想定するなら、ペネトレーションテストで実害を検証する

「突破されたらどこまで行くか」を具体化し、対策を優先順位づけする。

 

SynXが提供できること

SynXでは、ECサイト運営に必要なセキュリティ対策をワンストップで支援しています。

  • 脆弱性診断

  • ペネトレーションテスト

  • セキュリティコンサルティング

  • セキュリティ教育/体制づくり支援

「うちのECサイトは本当に大丈夫だろうか…」
そんな不安が少しでもあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

 
おわりに:ECサイトを守ることは、顧客を守ること

攻撃されてからでは遅い。
だからこそ、**“攻撃される前に守る”**という意識が重要です。

セキュリティは「やったら終わり」ではなく、「継続して点検し続けるもの」。
貴社の事業と顧客の信頼を守るために、今できる一歩から始めていきましょう。

※本記事の内容は、地域色彩制作の番組動画(SynX出演回)を
 二次利用許諾のうえ編集・再構成しています。

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